人気ブログランキング | 話題のタグを見る

がけっぷち中小企業の経営術 片桐 英郎 著

がけっぷち中小企業の経営術 片桐 英郎 著


1年程積読だった”がけっぷち中小企業の経営術 ”を読んだ。確か、中小企業向けにコンサルを考えて購入した本だと思う。

著者の片桐英郎さんは永年中小企業を担当されている銀行員です。

私の経験では、大銀行員の方は大体が経営とか再建などを理解している人はいないと思っていました。
片桐さんは”はじめに”で
 ”・・おおかたの銀行員には事業や企業の資質を見極める能力がほとんどない・・・銀行が主導して再建計画を策定すると、必ずや資産処分による借入返済と人員削減による経費圧縮が施策に盛り込まれ・・・”
と銀行の通常のやり方ではダメだとの見解。また
”・・事業の方向性を明示できる経営者や、経営管理能力が十分に備わった経営者は、中小企業には驚くほど少ない・・・”
と始めから明快に問題点を指摘している。さすがに永年中小企業の再建指導に当られてきた方だと思います。

内容も、”はじめに”の線に沿って、中小企業でも実際に出来る地道な改善策の見つけ方から入っていきます。限界利益の説明から、安売り競争を避ける知恵、単に人員削減をしてはいけない理由、ストックの削減から入ること、など非常に明快に説明されています。
文中で参照されている書籍などは著名な経営学書で、著者ご自身でも深く勉強されていることが伺えます。

難しい経営論の話でなく、実際にどのように売上高、経費、利益を上げていく、下げていくのかの説明で判りやすく、実践的です。

最終にやはり経営理念は必要ですからと、参考例をあげて説明されています。ここも通常と反対で、緊急に対処すべきポイントから入って、最後に経営理念も大切ですとは素晴らしい実践書です。

始めに言及されているように、中小企業では地道に経営を考えていく人が少ないです。当たり前のことを地道に実施していくことが重要です。

素晴らしい経営の実践書です。中小企業経営者でなくとも参考になる本です。難しい経営戦略論の前に読むべき本かと思います。

(今回からAmazon.co.jpにアフィリエートとしてリンクしています。)
by maida01 | 2004-04-19 23:14 | これからのビジネスとIT
<< 英語は知らない言葉ばかり 自然への回帰というか >>